部下の育成って大変ですよね。
思ったように言うことを聞いてくれず、主体性が見えずに悪戦苦闘することもあると思います。
今回は部下の育成方法と部下が退職しないための指導法も紹介します。
目次
部下に対する正しい指導法
部下に対する正しいマネジメントの本はたくさん出ています。
特に有名なのはピーター・ドラッカーでしょう。ピーター・ドラッカーは日本でも経営の神様と言われているほど、人気のある人物です。
また、日本では2009年に小説「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」でも有名になりました。
部下のマネジメントとは、部下のモチベーションを維持し、会社にとってプラスの存在にするための方法が正しいマネジメントと言えるでしょう。
マネジメントとは組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関
マネジメントーピーター・ドラッカー
部下をダメにする上司、部下を伸ばす上司
部下をダメにする上司と伸ばす上司の違いは何でしょうか。このセクションでは、その違いを紹介します。
部下への指導法がどのように変わるかをチェックしてみてください。
部下をダメにする上司の特徴
部下をダメにする上司には以下の特徴があります。
ダメにするからと言って、その上司が悪いのではありません。単純に指導法の問題かもしれませんし、その上司の方は、過去にそういった育成法で指導されていたのかもしれません。
ただ、改善の余地はあると思うので、当てはまる指導法がないか、確認してみてください。
1部下をマイクロマネジメントする
マイクロマネジメントとは、以下のような定義です。
マイクロマネジメントとは管理者である上司が部下の業務に強い監督・干渉を行うことで、一般には否定的な意味で用いられる。マイクロマネジメントを行う管理者は、業務のあらゆる手順を監督し、意志決定の一切を部下に任せない。部下の立場から見れば、上司がマイクロマネジメントを行っていると感じられることは多いが、上司がそのことを自覚することは稀であるとされる。
マイクロマネジメントをすることで部下がダメになる理由は、仕事を行う上で窮屈さを感じてしまうことが原因です。
細かいところまでマネジメントをされてしまうことによって、常に気が抜けなくなる上、業務に対して絶対に失敗したくないという気持ちが働きます。
失敗したくないいう気持ちは大切なのですが、その理由が上司に怒られない為という理由なので、逆に仕事に対する主体性を失います。
主体性を失えば、部下は自ら行動や発言をしなくなり、責任を他人に押し付けるようになるでしょう。
マイクロマネジメントは会社にとっても部下にとっても良い結果を生み出さないことが多いので、気をつけましょう。
2叱る一方で、成果は認めない
やってはいけないことや、社内、社外に迷惑をかけることに対して叱ることは大切ですが、一方で成果を認めないと部下はやる気を失ってしまいます。
成果を認めないというのは、何かしら結果を出した時に足りないところを指摘したり、本人が少なからず褒められると期待している時にそれを認めない時、本人は期待と現実のギャップに失望します。
また、認めないという行為は部下の忠誠心を奪う行為でもあるので、将来的に言うことを聞いてくれなくなったり、協調性を無くすことにも繋がります。
もちろん、指導として厳しい指導という方法は有効なのですが、大切なのはどう指導するかではなく、なぜその指導法が部下や会社にとって適しているのか?という目的の部分です。
指導法というものは、その手段のひとつでしかないので、目的を常に意識するようにしましょう。
3部下を支配しようとする
常に部下に頼みごとをすると、部下はいつか上司から離れたくなります。
例えば、社内イベントのために部下に頼みごとをするというやり方までは良いのですが、個人的な理由で部下に頼みごとをすると部下から反感を受けます。
例えば、お金を借りる、個人的な買い物の使い走りを常にする、プライベートで週に何度も飲みに連れ出すなど。
どんなに気の知れた上司とも、部下からすると、どうしても仕事上の関係なので気の抜けない部分はあります。
ですので、そういった相手から常に頼られている関係になると、部下は息が詰まってしまいます。
頼みごとの全てが悪い訳ではありませんが、度を越すという点において注意が必要です。
4自己成長に興味がない
これは上司自身が、自己成長に興味がない場合です。
なぜ上司の自己成長が関係しているのかというと、部下が成長している時に指導側が成長する姿を見せていないと、部下は伸び代が見えないからです。
部下は自分の数年後の姿を上司に投影しています。
つまり、成長をしていない上司を見ると、自分はその上司を超える存在にはなれないと感じるようになります。
特に優秀な部下は自己成長に意欲がある人が多いですから、上司に成長意欲がないと、その上司や会社に見切りをつけてしまいます。
5部下に挑戦する隙を与えない
つい部下がやっていることに対して効率が悪かったり、上司にとって上手い方法でないということを見て、もどかしい気持ちになることはあると思います。
その時に、「こうすればいい」と指摘してしまいたくなりますが、あえて部下のやりたい方法でやらせてあげることが大切です。
部下が挑戦するチャンスを奪うと、自分で考える癖がつかなくなり、なんでも上司に確認する癖が付きがちです。
確かに言うことは何でも聞く部下にはなるのですが、自発的に何か意見を言ったり行動することがなくなります。
そういう意味では、ある意味突き放した指導法、ついては挑戦させる育成法を行った方が良いでしょう。
部下を伸ばす上司の特徴
続いて部下を伸ばす上司の特徴です。
部下を伸ばす上司の特徴は、その上司自身が部下の頃に自分を伸ばす指導法で育ててくれた上司がいた。
あるいは、自分が部下の時に指導を受けた時に苦労をした際、その上司を反面教師として指導法を独自に編み出してきたという経緯があります。
ちなみに部下を伸ばす=甘い上司ではありません。
甘すぎて部下をダメにする上司もいます。
ポイントを以下にまとめたので、チェックしてみてください。
1時に厳しく、時に優しい
指導の上手な上司は、どんな時に厳しく指導し、どんな時に優しく指導すれば良いかを理解しています。
それは場面によって、厳しく指導した方が部下が伸びるケースもあれば、優しく指導した方が伸びるケースもあるからです。
また、部下によっても適した指導法があります。
例えば、俗に言う「いじられキャラ」だからと言って、厳しく指導することが効果的とは限りません。
部下に気を使っていれば、どういった時に、どんな指導法を行えば部下が伸びるかが見えてきます。
2「会社だから」「仕事だから」という理由を使わない
よく仕事をしていて、「会社なんだからこうしろ」「仕事なんだからこうしろ」と説得する指導をしてしまいがちですが、この「〜だから」というものは、個人的な価値観である場合が多いです。
ですから、「会社だから、仕事だから」という理由で指導するのは、単純に上司の価値観を部下に押し付けているだけに過ぎません。
価値観の押し付けは、部下の価値観を否定することに繋がります。
適した指導法としては、「どうして仕事だと、それをしなければいけないのか?」「どうして会社だと、それをしなければいけないのか?」を説明してあげることです。
部下がきちんと腑に落ちる内容を伝えてあげることで、部下も正しい方法で仕事に打ち込めるようになります。
3部下をよく理解している
部下をよく理解している上司は、部下の気持ちを汲み取れるので人気があります。
会社に入社して仕事に慣れきってしまうと、上司は昔の部下だった頃の苦労や気持ちを忘れてしまいがちです。
仕事が熟練していく内に、当たり前の基準が高くなっている分、その基準をそのまま部下に押し付けてしまうことがあります。
部下の気持ちをきちんと理解していることで、指導のレベルが変わってきます。
4距離感を大切にする
プライベートでの付き合いは確かに仕事に対するモチベーションになる部分も大きいので、週末イベントや飲み会などで付き合うことは大切です。
ただ、部下を伸ばす上司はある程度の距離感も大切にしています。
特に日本文化では、上下関係を重んじる傾向があり、それは学生の頃から教えられます。
ですから、仲が良い上司でも少し気を張ってしまうという実態があります。
逆にアメリカ文化は実力主義なので、横並び文化な分、プライベートでの距離感が近くても問題ないのですが、日本ではまだそれがうまく機能しない場合が多いです。
ある程度、部下の時間を大切にしてくれる上司は、部下にとってもありがたい存在となります。
5部下の責任を取る覚悟がある
部下の責任を取る覚悟がある上司は、その覚悟が部下にも伝わります。
その覚悟がある安心感のお陰で、部下は仕事に一生懸命に打ち込めるようになります。
もちろん、その部下に責任を取らせることが部下が成長することもありますが、大切なのは責任を取らせるかどうかというよりも、最後は自分が責任を取る覚悟があるかどうかという上司の在り方です。
つまり、実際に上司が責任を取るかどうかよりも、覚悟しているかどうかが一番重要になるのです。
部下への正しい指導法
指導をする上で最も迷うのは、何が正しいのか?という点に尽きます。
どういった点をポイントに指導すれば部下が伸びるのかを紹介します。
部下の忠誠心を引き出す
部下からの忠誠心を引き出すには、上司が部下にとってお手本になる人物になる必要があります。
お手本というのは、仕事をきっちりと行うことだけではなく、人としても尊敬できる人物である必要があります。
仕事が出来ることと、人物として尊敬できることのどちらが重要かと言えば、人物として尊敬できる人の方が忠誠してくれます。
なぜなら、人は仕事が出来るできないに忠誠しているのではなく、人間的な部分に影響を受けるからです。
「自分だったらそんな態度にならない」と部下から思われるような言動を行い続けると、いくら仕事ができても、部下はついてきてくれないことが多いです。
上司が人間性の部分で、尊敬できるような在り方をすると、部下の忠誠心を引き出すことができます。
間違っていることはハッキリと伝える
間違っていることを本人にはっきりと伝えることも、適切な指導法のひとつです。
ただ、感情任せに間違いを指摘するのではなく、その間違いが本人の成長を妨げるからという理由で伝える必要があります。
会社として間違っていることや社会的に間違っていることは、その理由をきちんと説明してあげなければいけません。
本人がこの間違いの理由を腑に落としていないと、気持ちのわだかまりが生まれます。
普段は優しく接している上司でも、時と場合により、きちんと間違いを伝えてあげることが大切です。
将来的に「あの時、先輩に怒られて良かった」と思える指導を行なっていきましょう。
見放さない
見放すとは、指導を諦めたり、部下が過ちを犯したのだから部下が悪いというメッセージを飛ばすことを言います。
結局、部下と上司が他人行儀の関係を持ってしまうと、部下が孤立感を感じてしまい、最終的に退職するか、不安から意気消沈してしまいます。
もちろん、実際は他人ですから上司が責任と取る必要はありません。
必要はありませんが、見守ってあげるという心遣いは部下を強くします。
仕事における挑戦とは、広いコンフォートゾーンがある上で行えることです。
このコンフォートゾーンは、最後は会社が守ってくれる、上司が守ってくれるという安心感の上に成り立ちます。
逆説的に感じる方もいるかもしれませんが、部下は安心できる環境があるからこそ挑戦をすることができます。
逆にコンフォートゾーンが狭いと、挑戦自体が恐怖や不安に感じてしまうため、身動きが取れなくなります。
部下のタイプ別コミュニケーション法
部下にも様々なタイプがいます。
人によっては、どのようにしてコミュニケーションを取ればいいのかわからない方も多いでしょう。
ここでは部下を4つのタイプに分けて、そのコミュニケーション法を紹介します。
焦っている部下
焦りという感情は、不安から逃れるために生まれる感情です。
焦っているということは、その裏に何か不安を抱えています。
上司として出来ることは、何を不安に思っているのか明確にしてあげることです。
そして、不安は漠然としてるケースがほとんどなので、実際にどんなことを不安に思っているか、また最悪の状態になったとしても、どんな対策が取れるかを明確にしてあげることで安心感へと繋がります。
間違っても、焦っている部下を煽ったりしないでください。
すぐに怒る部下
すぐに怒る部下は、先ほどと同じく裏に不安要素があるか、もしくは何をしても認められないという感情があるかどちらかです。
他人に対しての怒りという感情は、自分は正しいと主張したいという欲求から生まれます。
いつも上司や得意先に怒られていることが多いと、部下によっては怒りが溜まってしまうことがあります。
落ち込む部下
仕事をやっている上で、多少落ち込むことはあるかもしれませんが、これが日常茶飯事だと部下をうまく指導できないケースがあります。
そもそも落ち込むということは、ひとつの出来事に対してマイナス思考で捉えているということが言えます。
このマイナス思考で捉える事柄が多いと、部下が落ち込みっぱなしの状況となります。
落ち込んでいる時は、慰めることも大切ですが、大元の原因であるマイナス思考になる捉え方を変える必要があります。
まずは、本人に落ち込みたいか?ということを確認してみてください。
その時、きっと落ち込みたくはないという反応が返ってくると思うので、その時に一緒にプラスに捉えられる視点を与えてあげましょう。
無視する部下
無視する部下は、それを意図的にやっているのか無意識にやっているのかを確認しなければいけません。
無意識に行なっている場合、その都度、無視してしまっていることに対して指摘してあげる必要があります。
また、意図的に行なっている場合は、上司との信頼関係が築けていません。
信頼関係を築くために、指摘の方法を変えたり、上司から自己開示をする必要があります。
上司が自己開示をすると、その自己開示をした領域の分だけ部下も自己開示ができる幅が生まれます。
逆に相手を自己開示させようとすると、信頼関係が崩れる場合があるので注意しましょう。
まとめ
部下を退職させないためには、上司のマネジメントの能力を上げる必要があります。
また、部下から見ると上司=会社なので、上司の在り方がそのまま会社としての在り方という形で写ってしまいます。
経営者や人事が良い指導法を知っていても、直属の上司の在り方がで決まってしまう部分が大きいので、OJTのマネジメントのトレーニングはあった方が良いかもしれません。
参考にしていただければ幸いです。