退職理由と嘘の理由、離職防止の為には本音の理由を引き出すのが必須

社員がやめる原因について経営者や人事は悩まれている方が多いです。
退職理由とその防止策について、紹介します。

目次

人材育成に関する悩み

若手の採用が難しくなってきている中で、人材育成についての悩みも増えてきています。
なぜなら、人材育成を行なって辞めてしまっても新しい人材を採用すれば済む話でしたが、いまは採用自体が難しくなってきているので、どのように育成すれば離職防止に繋がるか考える必要があるからです。

 

下は厚生労働省の平成29年発表の「能力開発基本調査」の一部抜粋です。

このような悩みがある中で、自社に合わせた教育方針を決めることは大変です。
大多数が教育方針をOJTだけに任せていたり、離職防止に繋げるための教育方法を取っていないケースが多いです。

なぜ社員は辞めるのか

退職理由については様々ですが、いくつか参考になる情報を載せます。
以下は転職サイトでリサーチされている内容です。

 

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)

上記のデータを見ると、主に人間関係が原因で退職するように見えますが実際には会社によって退職理由は様々です。
ただ、上記でひとつ注目すべきポイントがあります。
退職理由を言う上で、若手からすると会社に言いづらい理由がほとんどという点です。
会社に正々堂々と言える退職理由として、enでは「結婚、家事の準備」「体調を壊した」のみであり、リクナビNEXTでは、7位にランキングしている「キャリアアップしたかった(6%)」のみです。
他の理由は、すべて若手社員からすると言いにくい傾向にあります。
特に若い世代は社会や文化との争いを避ける傾向があります。
会社を辞める際、その会社との争いを避けて退職に至るために、建前の理由を使って離職するというケースが出てきます。

「最近の新卒は離職率が高い」の嘘

新卒は3年以内に3分の1が辞めると言われています。
これは最近の傾向ではなく、昔から変わらないので、若い世代の価値観には関係ありません。

 

よく若手に対して、「根性がない」「ゆとり世代は...」とバッシングする方もいますが、実情と想像は違うようです。

 

下は、厚生労働省発表の「新規学卒者の離職状況」というデータです。
青線のグラフが離職率になりますが、昭和62年からずっと30%前後をキープしていることがわかります。

 

厚生労働省「新規学卒者の離職状況」

なぜ新卒は3年以内に3分の1が辞めるのか

では、なぜ昔から新卒は3年以内に3分の1が辞めるのでしょうか。

 

それは単純な理由で、社会人経験が初めてだからです。
はじめての社会人経験で、自分にどんな仕事が合っているのか、1日8時間を週5日で働く自分の生活サイクルなどイメージできるはずがありません。

 

就活の時は、入社することがゴールでした。
周りからのプレッシャーや周りの就活生の内定が決まっていく姿を見ると、とにかく自分も内定を決めなくてはいけないと感じてしまいます。

 

しかし、就活は仕事をするためのスタート地点なので、就活が終わることと社会人の生活サイクルとのギャップで悩んでしまいます。

 

結果的に、業務内容が好きだと思って入社したものの、実際に経験してみると自分に合っていないと感じてしまうケースが多いです。

 

新卒を採用する場合は、こうした新卒本人も気づいていないミスマッチに対しても考慮する必要があります。

可能であれば、社内で柔軟に業種を変えられるような体制を作ったり、中長期で業務内容に対する本人の評価をヒアリングする機会を設けると良いです。

 

なぜ社員の本音を引き出す必要があるのか

先ほど、社員から退職する際に本音の理由を聞く必要があると言いました。
なぜ本音を引き出さなければいけないかというと、本音の退職理由の中に会社が良くなるための改善案が眠っているからです。

 

逆にここをヒアリングできないと、次の新卒や若手も同じような理由で退職する可能性がある為、退職の連鎖を止められなくなるという可能性が出てきます。

退職のサイクル

特に若手の本音というのは、次の世代の価値観や感じ方にも共通する点が多い為、若手からの本音や意見というのは次世代の人材育成という点において、最も参考になると言えます。

 

社会や会社に慣れきっていない世代の本心だからこそ、企業内の改善にとても役立ちます。

 

離職率を下げる為の社員の本音を引き出す方法

具体的に社員の本音を引き出すと言っても、どのようにして引き出せばいいかわからないことが多いと思います。
今までの若手社員との接し方を変える必要があるかもしれません。

本音を引き出す方法として効果的なものを3つ紹介します。

 

個別面談を定期的に行う

若手社員との個別面談を定期的に行いましょう。
これは経営者が直接というより、人事から行なった方が良いかもしれません。

一対一の環境を作ることで、普段、組織の中では言えないことが言いやすくなります。

 

経営者が直接面談を行うと、どうしても若手は萎縮してしまい本当のことが話しにくいという空気になりかねません。

 

定期的な個別面談の周期としては、2〜3ヶ月に1度が良いです。
それ以上期間を空けてしまうと、手遅れになる可能性があります。

経営者や人事から見ると、若手社員は何の兆候もなく、いきなり辞めたような印象を持ちますが、本人はずっと前から辞めようか迷っています。

この迷っている状態の内に悩みを解決してあげることが、重要なポイントになります。

 

若手社員と仲が良いOJTにヒアリングする

経営者や人事には言えなくても、仲の良い先輩には色々な相談をしているかもしれません。

新卒や若手社員の一番身近な存在はOJTですから、OJTをヒアリングすると本人からは聞けない情報を入手できる可能性があります。
ただし、OJTと若手社員が信頼関係を築けている場合のみ、この方法は有効です。

 

特にOJTと本人が仕事終わりに飲みに行った席で本音の話をしていることが多いので、「プライベートの付き合いで何か言っていなかったか?」という質問をすると、若手が悩んでいることが出てくるかもしれません。

 

また、仲の良いOJTは、その悩みを人事や経営者に話すことを嫌がることもあります。
それは可愛い後輩の悩みを告げ口したと感じてしまい、そこに罪悪感を感じてしまうからです。

なので、OJTには「若手が働きやすい環境を作るために、本人の悩みを知りたい」という意図を予め伝えましょう。

 

口コミサイトで自社の評判を検索する

会社の評判を調べることができる口コミサイトが多数あります。

このサイトは、もともと転職者向けの会社の内部評判を検索することができるサイトです。

口コミサイトというと、掲示板のような嘘も本当も書いてあるようなサイトに感じるかもしれませんが、会員登録しないと口コミを掲載できなかったり、良い点・悪い点と分けて口コミを書ける仕組みになっているなど、信憑性のある内容も多く含まれます。

こういったサイトで自社の評判を検索してみると、若手社員の本音が記載されていることもあります。

 

 

注意

口コミサイトは、他社分析を行うには不向きです。転職希望者が口コミサイトを見て流入してくる可能性もある為、ダミーの口コミを載せている企業もあるからです。口コミサイトは自社分析を行うために使いましょう。

まとめ

離職防止に力を入れることで、実際に会社の業績が上がり、社内の雰囲気や社員が継続して残る会社は多々あります。

退職者がそのヒントを握っている可能性が高いので、会社を大きくするためにも離職防止に力を入れていきましょう。

たった1年で離職率83%減った...

A社は5年前から新入社員向けに社員育成に力を入れています。

確かに、ある一定数の社員には育成の効果が上がっているようですが、離職率は社員育成に力を入れる前とあまり変わらず、頭を悩ませていました。
一方、B社は5年前から新入社員向けに社員教育を取り入れたら、離職率の高さがすぐに改善された上、社員全体の生産性も上がっていきました。

同じように社員育成に力を入れていたA社とB社ですが、この2社の違いは何なのでしょうか...

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